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ABW支援活動同行記
投稿者:WDRAC 広報チーム
【Day.2】6/14 AM メディカ
2日目。
線路の向こうの教会の鐘の音で目が醒める。
7時。
小雨が降っていて、肌寒い。
身支度をして、紅茶を飲みながら今日の計画をざっと打ち合わせ。
車で20分の隣町、シェミシルで生鮮食品を買い倉庫の物資を積んでウクライナに向かう準備をする。
まずは倉庫89で物資の在庫を確認、バンに載っている荷物と入れ替え。
倉庫の敷地内には廃車になっている車が何台かあって、そこで寝泊まりしている人たちがいる。
もともとこのあたりは国境間近ということもあり、トラックの駐車場と倉庫、トラックドライバーのための店しかない。
2022年の3月から6月にかけて、1日あたり25,000人、およそ300万人がメディカを通過していったとのこと。
倉庫「89」には、イギリス、デンマーク、フィンランドからABWに送られた物資が積まれている。
89で管理している物資は大きく3つに区別されている。
・すぐに必要な医療物資」
・缶詰や瓶詰、小麦粉や砂糖や塩
・今すぐ必要では無いけれど後々必要になるもの(冬物衣類など)
特にリスト化がされているわけではないが、Simonの頭の中には「どこに何がいくつあるか」は大体入っているらしい。
倉庫を簡単に整理をして、生鮮食品の買い出しに向かう。
我々が使っている駐車場は有料なので、ゲートがある。
ゲートには門番がいて、手動でゲートを開閉してくれる。
SimonもTravisもすでにこの門番と顔見知りで、「よう!買い物に行ってくるよ!」と声をかけるとゲートを開けてくれる。
ゲート周囲には商店が3軒、小さめのスーパーマーケットが1軒。
ポーランドからウクライナに向かう人、ウクライナからポーランドに向かう人たちが溜まっている。
国道28号に出ると、長い車列を目にすることになる。
トラック、バス、乗用車。
この朝は目視で200台ほど。
ポーランドからウクライナに向かう検問所は4箇所。
トラックドライバーたちは積荷リストを検問官に見せて、チェックを受けなければならず、1台あたり20分ほどの時間がかかる。
まず立ち寄ったのは「看板屋さん」で、新しい車にラッピングするためのカッティングシートをロールで買うための交渉を始めるSimonであった。
英語があまり理解できなかったようで、アプリを使って翻訳・通訳をする。
交渉成立。
Simonの強みはこの交渉スキルで、自分の要望を伝え相手の状況を確認し、相互のメリットを擦り合わせて着地させるのが実に上手である。
支払いは現金で、ということで近所のATMへ。
ポーランドの通貨はズウォティ(1ztは約35円)。
お金を下ろして、マクドナルドでブランチ。
Simonがメディカで過ごした最初の数日のことを話してくれた。
氷点下13℃、車の中で身体を休める日々。
国境で目にする混乱の数々。
当時の様子はこのレポートから窺い知ることができる。この動画に映る場所に滞在した。
マクドナルドでハンバーガーとシェイクを飲みながら1年前の話を聞く。
最初はたったひとりで車の中で寝泊まりしながら、徐々に仲間が増えて今に至る。
僕は職業としてリーダーシップ開発と組織開発を手がけているので、どうしてもその視点で事象を捉えようとしてしまう癖がある。
Simonも始まりはたった一人だった(もちろんSallyの協力があったからこそ始められたわけだが)。
そこに徐々に仲間が加わって、今回は僕が加わった。
この動画で起きた出来事と、僕が今回の取り組みに参加できたことは似ている。
Simonが踊り、SallyやTravisが続く。
僕も踊り方を教わって、こうしてテキストにしたためている。
このテキストをみたあなたが他の誰かに踊り方を教える。
「復興支援」はいろんな捉え方はあるけれど、やることはシンプルだ。
踊り方を教えること(ここでの文脈ではボランティアに参加することであったり身近にいる困難を抱えている人たちとの接点を探すことだったり、もちろん寄付をすることもそうだし、この記事をシェアすることだってそう)が大事だなと改めて思う。
「助けてください」だけではダメなんだ。
「こうやって助けるんだよ、見てて。よし、じゃあ次は自分でもやってみようか。」という初期の段階と、「よし、じゃあ他の人に伝わりやすくするためには自分に何ができるかな」という中期の段階と、「自分がしていることで次のリーダーを涵養するにはどうしたらいいかな」という後期の段階がある。
そんなことを考えていたらあっという間に正午を過ぎた。